なん、で。
なんで、なんで。
急すぎない…?
必死に文字を打つけど、手が震えてうまく打てない。
『なんで? どうしたの?』
『翔斗? 理由を説明してほしい。』
『何か私、悪いことした?』
こんなにたくさん送ったら、ただのメンヘラクズ彼女なんだろうね。
でも、そんなこと考えている余裕なんてなかった。
既読、という概念がないSMSに腹が立つ。
なんで、なんで。
何か私、悪いことしたの翔斗?
ダメだった?
嫌いになったの、私のこと?
なんで。
なんで。
過呼吸になりそう。
息が苦しい。
涙が溢れてくる。
視界が霞んで、見えない。
声が掠れる。
このまま、死んじゃいそう。
「しょ、うとっ!」
「なん…で。」
「なんで、翔斗…!」
自分の枕を殴る。
醜いのは分かってるけど、泣き叫ぶ。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔をベッドに押し付ける。
「翔斗、翔斗、翔斗…!」
馬鹿の一つ覚えみたいに、ひたすらに名前を言う。
ひとりぼっちの家の、ひとりぼっちの部屋で。
薄暗い中、私の叫びだけが響いている。
そしてその夜、泣き声はいつまでも止まなかった。

