そんなことを思いながらしばらく歩いていたら、翔斗の足が一つの場所で止まった。
「クレープ屋さん…ってここ、この前テレビで紹介されてたとこ!」
翔斗が連れてきてくれたのは最近できたばかりのクレープやさん。週末は並び過ぎて全然入れないって言うお店だ。
「こういうの、好きなんだろ? 土日じゃ食べられないから。」
これぞ放課後デートに相応しい場所じゃないか。
「もうほんとに大好き! ありがとう翔斗!」
ウキウキ気分で店内に入ってメニューを見るも、ある重大なことに気づく。
「翔斗、これめっちゃ高いよ…? 私こんな大金持ってない。」
ここにきて食べれないかもしれないという絶望から泣きそうになるけど、翔斗は笑って次の言葉を言った。
「どこにデート行って彼女の分払わない奴がいるんだよ。ましてや俺が連れてきたのに。」
「ほんとに…? だって、3000円だよ…?」
「大丈夫だ。気にすんな。」
優しすぎるでしょこの彼氏…。
結局、私はいちごスペシャルを、翔斗はブラックコーヒーを頼んで席に座る。
「美味しそう…いただきます!」
クレープを一気に頬張る。
「おいしぃ…!」
「良かったな。」
向かい側に座る翔斗がものすごく優しい顔で笑っていて、とてつもなくかっこよく見えた。
もう私、幸せすぎるよ。
いっぱい徳を積んだであろう前世の私、本当にありがとう。
そう感謝するしかなかった。