幼馴染、なんかじゃない


「ねえ、怒ってる?」


校門を出てしばらく歩いていたところでそう聞かれた。

「えっ…、翔斗が絡まれてる時はその…嫌、だったけど。今は別に…。」


「ふぅん。妬いてたんだ。」

ちらりとこっちを見て笑う翔斗の顔がほんっと憎たらしいったらありゃしない。

「だってそもそもさ、私LINEまだ繋いでないのにあんな人たちに翔斗に繋ごうって言う権利なんかある?」

自分が本当に嫉妬深い女になってしまったようで自分に腹が立った。

「俺は誰とも繋がない。」

「えっ…、なんで?」

「だって、他の奴らなんか絶対嫌だし。


緋鞠とは、面と向かって話したいから。メールで何か聞くなら、リアルで聞いてほしい。」


何その理由…。

めちゃくちゃ嬉しいかも。

「ってか俺そもそもLINEやってない。でも、なんかあった時のために一応電話番号は教えとく。」

そう言ってポケットからスマホを取り出して、私に電話番号を見せてくる翔斗。


急いで私はそれをメモする。

そして私も電話番号を翔斗に教えた。


「ん。ありがと。…なんだけど、えっと、いつまで私の腕持っとく気…?」

学校から、ずっと私の左腕を握ったままの翔斗。

本人は何も気にしていないっぽい。


「あの、…ちょっとて寒いからポケット入れたいんだけど…」

11月の初めに入って、季節はもう冬。


マフラーをつけて来なかったことを後悔するくらい私は寒がりだ。


「でもこれからどこ行くか知らないんだから俺が連れて行ってやらないとダメだろ?


それに、寒いんなら俺があっためるし。」


そう言ったと同時に、翔斗の手が下に下がって私の掌と触れ合った。


「えっ…」

突然の状況に、理解が追いつかない。

「だめだったか?」

ブンブンと首を横に振る私を満足そうに見る翔斗。


なんでこいつはこんなに余裕なの!

だって、だってこれ初めて手繋いでるんだよ!?


「言っとくけど、俺ら手繋ぐの全然初めてじゃないからな?」

私の心を見透かされた。

そう、幼稚園の頃なら、何回も手を繋いでいる。

「確か、俺のこと翔くんって呼んでたっけ。」


懐かしき幼稚園時代。


家が近かったこともあり、年長の時に引っ越してきた翔斗と私はとても仲が良かった。


『大きくなったら緋鞠、翔くんと結婚するの!』って昔の口癖。


今考えたら恥ずかしい以外の何者でもない。

「私、翔斗と結婚するって言ってたよね。」


「将来的には叶うかもしれないけどな。」


また変なことを言われて、顔が真っ赤になる。

「揶揄わないで…!」

「10年も待ってたんだぞ、ちょっとくらい俺の好きにさせてもらってもいいんじゃないか?」

またそんなことを言ってくる翔斗は、どれだけ私を茹でダコにさせたら気が済むんだろう。


「後、冬関連だけどお前、学校でダッフルコートとかマフラーとか禁止な。タイツも。


寒いなら全身にカイロはっつけとけ。」


「な、なんで…」

タイツとマフラーなしの通学とかどう我慢できるの…。非難の目を浴びせる。


「お前、男子の目気にしてないだろ。」

「そんな見てないでしょ。」

「自分のかわいさを理解してないくせにそんなこと言うな。とにかく禁止。」


ピシリとそう言われるけど、こっちには反論なんかできない。

ほんっとに、こいつ相当なプレイボーイになれるんじゃないか。