泣き腫らした目で、学校に行きたくなかった。

でも朝は来て、強制的に私を学校へと連れいく。

雲一つない空が余計私の心を刺激する。



翔斗との待ち合わせ時間の五分後に家を出て一人で学校への道を歩く。


待ち合わせ場所を通り過ぎる時、やっぱり悲しかった。


五分遅れただけで先に行っちゃうんだよね。


そうだよね、好きな子だったら、何分でも待つよね。

なんでこの時から気づかなかったんだろ。


「ひーまーりちゃん、おはよう。」

信号待ちをしながらそう考えていた私は後ろからくる人に気づいていなかった。


篠原くんだ。

「あぁ…篠原くん、おはよ。」

「どうしたの、元気ないじゃん」


昨日君に言われた言葉のせいだよ、だなんて言えるわけないよね。

「ちょっと寝不足で…。」


「咲田のこと?」

いきなり翔斗の名前が出てきて心臓が止まりそうだった。



「えっ…」

「もうさ、あいつのことなんか忘れて俺のこと好きになってよ。」

続け様に、そう言ってくる。




え?

「え…」



もしかして、これって…?


「俺、高校入ってずっと緋鞠ちゃんのことが気になってたんだ。


隣の席になって、緋鞠ちゃんのことが好きになった。俺と付き合ってください。」



この言葉、翔斗に言われたかったな…


そう思う自分は、どこまで性格が悪いんだろう。


誰かに告白されたこと自体初めてだし、篠原くんがそんなこと思っていたのも驚きだし、全部ひっくるめて私の思考は一時停止する。


信号が青になって周りの人は動き出すのに、私たち二人は止まったまま。


道行く人は、みんな不思議そうに私たちを見る。


規則正しく鳴る信号機の音が、私を余計に焦らせてくる。



ついに、青信号が点滅し始めた時、口が開いた。


「私ー」