「あったかい…。」

「当たり前だろ、出来立てだぞ」


優しい顔で微笑む翔斗を見ると、なんでか涙が溢れてきた。



「なんでだろ、ごめん。なんで…。」

お母さんはいっつも遅くて、夜ご飯はいつも一人だった。




大体いつもはカップ麺、たまに冷えたご飯に冷蔵庫に入ったお惣菜。

私のために、生活のために頑張っていることはわかってる。


でもやっぱり、できることなら二人で、温かいご飯を食べたい。


料理くらい私にでもできるから。たまには早く帰ってきて欲しい。


「たまにはうち、こればいいじゃん。」

頭にぽん、と手が置かれて、翔斗がそう言ってくれる。

そんな優しくされたら、余計に泣けてくるじゃん。

「ん…。」

「な? だから泣くなって。」


あやされるように頭を撫でられて、もう私の歯止めは効かなくなった。