午後七時。隣で寝息を立てる緋鞠に、布団をかける。


やっと考査範囲の単元が二つとも終了したところでうとうとし出し、そのまますぐに寝てしまった。


この可愛さは、反則だろ。

今日は緋鞠に振り回されてばっかりだ。


そもそも一緒に勉強をする時点でもうすでににやけが止まらなかったのに、家に入ったら俺のベッドの上にちょこんと座ってるし。思わず『かわいい』という言葉が漏れてしまった。


勉強熱心で、俺の説明について行こうと必死になってシャーペンを動かしてるところも可愛すぎだし。



おかげでこっちはまともに勉強に集中できなかった。




華奢な体が規則正しく動くその姿が、愛おしく思える。

こんなにちっちゃいのに毎日色々なことを考えながら生きてる。

そう思うと、不思議でならない。



その髪に、肌に、睫毛に、唇に触れたい。

そんな衝動に駆られる。

年頃の男子にとっては普通なのかもしれないが、自分がそう思ったことに正直驚く。




なんで緋鞠はこんなにかわいいのだろうか。

さっきは寸前で押し止まったのに、気づいたらもうその白い頬に手が触れていた。


サラサラで、何時間でも触っていられる。


「好きだ、緋鞠。」



心から溢れ出したその声は、部屋の静寂に吸い込まれていった。