「お邪魔します…。」

小学生ぶりの翔斗の家は、あんまり変わってないように見えた。

仲が良い割にはあんまり来たことないんだよね、翔斗の家。

大体朝も一緒に行ってたりする幼稚園からの幼馴染って言ったらお母さん同士も仲がいいものなんだろうけど何故か私達はそうでもないみたいで。

別に翔斗の事を嫌ってるとか、一緒に遊ぶなとかは言われないんだけど、なんかな…。

少し距離を置いてる? というか。まあ別に私も翔斗も気にしてないんだけれども。


「その辺、適当に座っといて。」

案内されたのは翔斗の部屋で、これまた特に変わり映えのしないシンプルな部屋だったけどめちゃくちゃドキドキする。

ここで毎日寝たり勉強したりしてるんだ…。

当たり前のことなのにすごく新鮮で、緊張で胸がはち切れそうだった。


「ほい。」


麦茶の入ったグラスを運んでくるその姿がやけに大人っぽく、かっこよく見えて目を逸らしたくなる。


「ありがと…。」

「後俺、制服で家ん中動きたくないからちょっと着替えてくるから先始めといて。」

「変なこだわりなんだね…。」

「五月蝿い。」

また部屋から姿を消す翔斗。



時計の針と自分の鼓動がうるさく聞こえてくる。

言っちゃえば、今翔斗は着替えてるってことだよね…?
いや、何考えてんだ私の馬鹿。


うーん、けど! そりゃちょっとは興奮、するよね?
翔斗の部屋着気になるし。私服と違ったりするのかな?


変態だ私。



てかこのベッドで…、寝てるんだ。

どうしよ、ちょっと触ってもいいかな? いやだめだよね。

いや、いいか。てか座っちゃってもいいかな?


寝転ぶのは流石にキモすぎるよね。