トンネルに入って、窓ガラスに反射する自分の顔と目が合った。

微かに揺れる車内。

どこからか、子供の泣き声がした。



「大きくなったら緋鞠、翔くんと結婚するの!」

小さな目を輝かせて、希望に溢れた胸を弾かせながらそう言った日々はもうない。


手を繋ぎ合うことも、デートすることも、話すことも

もうない。



翔斗

間違っていたのは、私たちでしょうか?

私と貴方が出会ってしまったことでしょうか?

恋に落ちたことでしょうか?



私たちは、恋に落ちてはいけなかったのでしょうか?




いいや

違う。


いや、

例えそうだとしても。



あの頃の記憶は、絶対に消えない。

貴方と過ごしたあの日々は、誰にも消せない。



楽しかったあの頃の思い出は、



永遠に。