「ここだよ。」

少年は、小さな扉を指差した。それは、土を盛ってできた家だった。

「入って。」

「え、でも…。」

「ほら、急いで!はやくしないと帽子屋が!」

「わ、わかった…。」

亜里珠は少年に言われるがまま、家の中に入った。

「椅子に座って。」

少年は羽織っていた茶色いローブを脱ぎ、あどけない笑顔を亜里珠に向けた。

その顔は、赤い民族化粧らしき不思議な模様が施されている。それ以外はウサギの耳や、猫の尻尾などは見えず、少年が人だということがわかった。