「はぁ?」

帽子屋は怪訝そうに眉間にしわを寄せる。

「…じゃない。亀殺し!」

頭の中が真っ白な亜里珠はどおでもいいことを言いかえた。

帽子屋は状況を理解したらしく、ああ。と、亀に視線を移した。

「これはな……」

帽子屋が口ごもらせ、亜里珠はそっとその場から離れ、ダッシュした。

「っておい!待てって!!」

そう叫んでいる帽子屋の声はすでに遠く、亜里珠は再び森の中へと入っていった。