アリス人形

「…帽子屋さん、扱い慣れてるね。」

亜里珠は感心し、帽子屋は苦笑した。

「そんなもん、この世界に490560時間も居ればちっとは学習するさ。」

亜里珠は、言ってはいけないことを言ってしまったと、うつむいた。

「…ごめん。」

2人は分かれ道に差し掛かった。

左は今までと同じ道が永遠と続いていたが、右は白黒の市松模様から赤黒の市松模様に変わっていた。

「…右、だな。」

帽子屋の言葉に亜里珠は黙って頷く。

2人は、一気に走りだした。

──タッ、タッ、タッ、タッ、タッ…

小さな光が見え、それはみるみる大きくなっていく。

光が体を覆い尽くした時、