アリス人形

──コツ。

「……。」「……。」

2人は足を止めた。そして、顔を見合わせ黙り込んだ。

2人の行く先には、モノクロのトゲの塊があった。

「ダッシュで行くぞ。」

帽子屋は亜里珠の耳元でこそっと囁いた。亜里珠はひとまず頷く。

「せーのっ!」

帽子屋の合図で走りだした亜里珠は、すれすれでトゲの塊を避け、帽子屋はそれを跳び越えた。

「アリス!このまま走り続けろ!」

「なんで!?」

「いいから!」

走り去る2人の後ろからは、啜り泣く声が聞こえてきた。

「クスンッ…クスンッ…ぅわあ〜ん!何で無視するんだぁ〜!!アリスのばかぁ〜!!!!」

「!!!?」

啜り泣いていた声はやがて叫び声に変わり、2人の走る速度は自然と速くなっていた。

「許さない…許さないぞ…。


行け!!


ハリちゃんボンバー!!!!!!!!!!」