「じゃあ、それは黒い姿をしていたのですね?」

「…うん。」

やっと本題に戻り、女王は少し考え込んだ。

「そんな気味の悪い者、この国では見たことも聞いたこともありませんわ。」

「それは僕もです。しかし、確かにこの世界の匂いでした。」

2人はしばらく黙り込み、やがて大きなため息が漏れた。

「はあぁ…。ごめんなさい、アリス。私は力になれませんわ。」

「そっか…。」

「クローバーの森へ行ってみてはどうかしら?情報屋なら何か知っているかも知れませんわ。」

「クローバーの…森?」

亜里珠が首を傾げていると、シロウサギはポケットから懐中時計を取り出した。

「ゔ…もうすぐお茶会が始まる。」

「お茶会がそろそろ始まりますわ。情報屋はそこにいるはずですわ。」

「わかった。ありがとう、女王様。」

「どう致しましてですわ♪」

嫌そうなシロウサギをよそに、女王はなんだか楽しそうだった。