アリス人形

この姿をどう説明しようか。とか、帽子屋は何処に行ったのだろうか。などの考えは今の亜里珠にはもう無かった。迷い無くリビングへと入る。

同時に、突き抜けるような頭痛が彼女を襲った。

「あ゙ぁ…!」

頭を押さえ、倒れこむ。

脳が、見てはいけないと警告する。しかし、助けを求めようと、警告を理解するよりも先に、眼と手が家族へと向かってしまった。

そこには、父と母。そして、亜里香。

「亜里珠、どうしたの?」

と、母が心配そうにこちらを伺う。

「…お母さん。」

何だ。あれは全部夢だったのか。

泣きそうになりながらも首を横に振り、何でもないよ。と、笑ってみせた。

刹那、後ろから“もう一人の亜里香”が亜里珠の体を突き抜けた。

「何でもないよ、お母さん!」

衝撃。まさにその一言だった。