「…くっ!」

白から生まれるは目を惑わせるほどの真っ赤な鮮血。

─嫉妬しちゃうなぁ。あんな小娘の為に命懸けで戦うなんて…君らしくない。─

闇は唸る。

─僕も元は白かった。なのに!アリスが君を選んだせいで僕は黒くなり、物語から消滅されかけた。黒くなったにも関わらず僕はアリスが愛しかった。愛しかったんだ!

アリスを取り込んだ今。僕はアリスと一心同体。この世界の主人公は僕だ!!!!─

高々な笑い声が辺りを支配する。

「ア、リス……!」

笑い声に紛れ、白い影が倒れる音が聞こえた。

また、闇だけの空間が出来上がる。

─哀れな僕の弟。安心して眠るといい。─

闇に浮かぶ赤い瞳がキラリ。鈍く輝いた。