氷の華とチョコレート


 このまま終わってしまうのが、もったいなくて……。


「……」


 ギュッと膝の上で手を握ってみても、それを言葉に出す勇気が、まだ持てない自分がいる。


「氷室さん、部屋まで送るよ? 話しておきたいこともあるし」

「……話して、おきたいこと?」


 シートベルトを外して、ドアを開ける真間さんにつられ、わたしもあわててベルトを外し、荷物を肩にかけて車から降りる。そして、ゆっくりと私のアパートへ向かう。


「うん、実は明後日から二週間ほど出張で帰って来れそうにないから、前もって言っておこうと思って……」

「……二週間!? 海外とか、行かれるんですか?」


 そんなに会えないのは、初めてだったので少し不安になってしまった。海外じゃきっと時差とかもあるし、電話も厳しいかな?

 真間さんを見ると、何とも言えない複雑な表情をしていた。