氷の華とチョコレート


「……」


 楽しかった今日一日、本当は、私がこのまま、さよならするのが寂しいから、真間さんが疲れてるって、思いたかっただけなのかも知れない。いたわりたい気持ちも嘘ではないのに……。我がままになってるな、私。

 また彼に、迷惑をかけてしまう所だった。

 覚悟はもう、十分に出来ているんだけどな……。


「……」


 あ、れ?

 それって、誤解じゃない? ……のかな?

 もう付き合って三ヵ月以上経つ、初めてのデートから私と真間さんは、全く、先に進んでいない。私が、初めてと言うのがあっても、そろそろ気にもなって……。


「……」


 やっぱり、もう少し、一緒にいたいな……。

 真間さんを見上げて、もう一度、言おうとした、時…―――


「着いたよ?」


 車が止まり、真間さんが、ふんわりと笑って私を見た。


「……」


 あっ……。

 真間さんの笑顔を見たら、何故か急に胸がドキドキし始める。

 い、言えるの? 私、誤解じゃないです、なんて。


「……」

「……氷室、さん?」