氷の華とチョコレート


 やっぱり、無理しているんじゃないかしら? 仕事でもないのに、私の友達だからって気を使って……。


「……」


 少しでも、休んだ方がよくないかな? もうすぐ、私のアパートに着くし。


「あの、真間さん? 少し家で休んで行きませんか?」


 信号で止まったタイミングで、私は言った。


「えっ!?」


 大きな目を見開いて、真間さんは、私を見返した。

 えっ?

 まるで、あの時と同じ反応。


「……?」


 あんまりにも真間さんが驚くから、私は、また変なことを言ってしまったのかと、自分の言動を振り返った。


「あの、……真間さんが、やっぱり少し疲れた顔に見えたから、だったんですけど……?」


 途切れとぎれにでも、私は、自分の言葉の意味をちゃんと伝えた。もう、誤解されて、気まずいことになるのはイヤだったから。


「……う、ん、……今のは説明がないと、また、誤解するヤツだったね?」


 や、やっぱり。


「ごめん、なさい」


 真間さんは、首を横に振って、静かに笑ってくれた。そんなつもりじゃなかったのだけれど、上手く彼をいたわる言葉が見つからない。


「……」


 明日は日曜だし、このまま送ってもらって、さよならした方が、本当は彼にとって一番楽だろう。

 でも……。