氷の華とチョコレート


 ずっと、悩んでいた疑問が一つ消えた。


「……」


 こんなにモテそうな真間さんに、彼女がいなかった理由、けれど……。


「今は、大丈夫なんですか?」

「うん、基盤が出来たしね、上司と先輩二人にも彼女が出来たから……、っと、一人は最近別れちゃったけど、今度はオレに彼女が出来たし? もう、前みたいなことはないよ?」


 私は、ホッと胸をなで下ろした。よかった、睡眠三時間なんて、デート所じゃないだろうし。電話しずらくなってしまう。


「氷室さん、せっかくだから、そのコーヒーもらえる?」


 えっ?


「あっ、はい!」


 あわてて、私はプルタブを開けて、彼の手の中に差し出した。


「……暁陽《あきひ》、くんと菜摘《なつみ》さん、だっけ?」


 コーヒーを一口飲んでホルダーに置きながら、真間さんが言う。


「はい?」


 彼は、バックミラーで、二人が寝ているのを確認して


「……いい友達だね?」


 と言った。私は、その言葉が嬉しくて


「はい」


 と、満面の笑顔で答えた。