氷の華とチョコレート


「―――…美羽?」


 えっ?

 どのくらい、時間がたったのだろう?


 瑛生さんの腕の力が緩んで、私を見下ろす。その顔が、熱を帯びたように苦しそうで、私は驚いて彼を見つめた。


「瑛生、さん?」

「―――…めっ、ん」

「えっ?」

「……もぅ、優しく出来ない、かも」


 あっ……。

 苦しそうに目を細めて笑う彼の顔と、かすれた声。私が落ち着くまで待っていてくれたんだとわかり、胸が苦しくなった。


「……美羽」


 熱を帯びた彼の瞳に見つめられる、彼の大きな手のひらが、頬を包み、彼の唇が深く重なる。


「んっ!?」


 身体の奥から、電気が走るような痛みが走った。

 い、痛い、苦しい……。

 でもまだ、ゆっくりと私を気遣う彼の眼差しを感じて、胸が震える。


「―――……つかまって?」


 聞き取りずらい、かすれた声、彼の奥にある熱を感じる。腕を取られて、彼の首の後ろにまわされた。


「……っ」


 我慢できないと言う顔で、彼は、苦しそうに顔をゆがめると、力強く私を引き寄せ、強引に唇を割り息を奪うような、くちづけをした。