氷の華とチョコレート


「っ!?」


 囁いた吐息が耳元にかかって、また大きく反応してしまう。彼の言葉に、一気に鼓動が倍速になった気がした。


「美羽?」


 私を見下ろす彼の瞳が、甘く揺れる。


「……」


 鼓動がずっと速いままで、落ち着くことはないのに、彼の眼差しに何故か胸がいっぱいになって、幸せな気持ちが広がっていく。

 私の頬に触れていた、瑛生さんの長い節のある指に頬を寄せて頷いて、彼を見上げた。私のその仕草に、嬉しそうに目を細めて瑛生さんは笑う。


「……少しだけ、我慢して?」


 見えない場所で、準備をしていた瑛生さんが、私の腕をとって自分の首元に回してくれながら言う。


「瑛生さん?」

「……美羽」


 彼の唇が、やさしく私の額に触れた。触れられた所が、甘く痺れてくる。


「えいき、さっ……、んっ!!」


 彼の名前を呼ぶ、途中で、自分の身体の奥に、尋常ではない痛みが走った。


「……っ」