氷の華とチョコレート


 頭が上手く回らない、けれど、私を見つめる彼の瞳が、薄暗い部屋の向こうのアロマライトを映して、誘うように艶めく。


「えいき、さん」

「……たくさん、呼んで?」


 幸せそうに目を細めて、彼は私を見つめた。


「えいきさん」

「……ん」

「瑛生さん」


 苦しそうに目を細めて、瑛生さんの唇が、私のそれを塞《ふさ》ぐ。


「……っ!?」


 唇が重なっただけで、身体の奥まで痺れてくるような感覚が強く、して……、かき集めた思考のカケラが霧散《むさん》した。

 残る、わずかな意識で、彼の舌先を必死で追う、深くなっていくKISSが、怖い、のに、……やめたくない。

 長いKISSの後、目を開けると、彼の肩越しに私の部屋の天井が見えた。息が、少し辛い。


「……えいき、さん?」

「美羽、いい?」

「……?」


 私が、シーツの上で首を傾げていると、瑛生さんは、猫がするように頬を私の頬にすり寄せて、囁いた。


「美羽の中に入りたい」