氷の華とチョコレート


「……っ」


 何が起こったのか、わからなくて怖かった。

 頭の奥が痛くて、心臓がバクバクと高鳴り、短い息を何度も繰り返す。小刻みに震えている私の身体を、真間さんが強く抱きしめてくれていた。


「……まま、さん?」

「名前、……呼んで? オレの」


 怖くて、真間さんを呼んだら、耳元でそう囁かれた。それだけで身体が反応してしまうくらい敏感になっている。


「な、まえ?」


 とけた、思考を頭の中で集めてみる。―――…名前。


「……」

「呼んで? 美羽」


 囁いて、そのまま彼の唇が頬に触れるから、身体の奥までビクッとした。本当に自分の身体じゃないみたい、怖くて、彼にしがみつくように背中に回した手に力を入れた。


「……えいき、さん?」

「……っ」


 彼の腕に力が入って、更に強く抱きしめられる。ひたっとした肌の感触、暖かくて気持ちいい。


「……もっと、呼んで?」

「……?」

「美羽の声で、……呼ばれたい」