氷の華とチョコレート


 私を包むように抱きしめる真間さんの指先が(ひや)っとして、背中がビクッと反応してしまう。そのまま抱きしめる、腕の力が強くなり。彼の素肌が、ひたっと吸い付くように、私の頬に触れた……。


「……」


 触れた頬から、伝わって来る真間さんの鼓動の音が、私と同じくらい速い事に驚いて、少しだけ安心出来た。


「緊張するね?」


 顔を上げると、ふんわりとした彼のいつもの笑顔。和らげようと言ってくれた言葉が嬉しくて、つられて、私も笑顔を返すと、真間さんの背中に腕を回して彼を抱きしめた。

 緊張してどうにかなりそうなくらい鼓動が高鳴っているのに、彼の胸の中が暖かくて気持ちいい。同じくらい強く、真間さんが抱きしめ返してくれた。


「……」


 素肌でぴったりと抱き合う感触が心地いいなんて、初めて知った…―――





「……美羽?」

「……は、ぃ?」


 あ、れ? 

 名前を呼ばれて、顔を上げると、抱き合ったままシーツの上に横になっているのに気付く。

 どれくらい、こうしてくれていたんだろう?

 鼓動の音が少しだけ、落ち着いていた。