「うん、美羽の大事な、……お母さんの傘を、あの時貸してくれたんだね?」
あっ……。
「……はい」
誰にも言えない、いや、言いずらいこと、でも私にとって一番大事にしていた気持ちを、見つけてくれる人が真間さんだなんて……。
なんて幸せなんだろう。
「返ってこなかったらとは思わなかったの? 美羽は知らないかも知れないけど、噂の的の人の傘なんだよ?」
「……」
あの時は、お客様である真間さんを笑ってしまった手前、傘をなんとかしようと、あわてていたから、返ってこないなんて考えていなかったな……。
貸した人が返してくれる人で、真間さんで本当に良かった。
「……美羽は、あまり自分の事を話さない方?」
えっ?
「そんな事は、……ただ、みなさんにとって、楽しいお話ではない事が多いから、言わないだけです」
「……そっか、そうだね、……少し不安だったから、今日、ここに来れて良かったな」
真間さんを不安にさせていた事に、申し訳ない気持ちが広がってゆく。
何を、お話すれば、彼が安心するのかわからないけれど。自分が出来ることなら、努力はしたい。
私は、真間さんの言葉を待つように、真っ直ぐに彼のチョコレート色の瞳を見つめた。
「……オレはもっと、美羽の事が、知りたい、……です」
「……!?」


