氷の華とチョコレート


 顔を上げて、真間さんを見た瞬間…―――


 あっ……。

 目の中であふれていた涙が、こぼれ落ちた。


「……っ」


 やだな……。また真間さんを困らせてしまう。私は、あわててうつ向いて、顔を隠した。


「ごめんなさい、そう言うのじゃ、なくて……」


 けれど、一度こぼれ出た涙は、止まることなく、後からあとからポロポロとあふれ出て……。


「……っ」


 なんでだろう?

 両親が亡くなっても、おばあちゃんが亡くなっても、今まで涙を流すことなんてなかった、のに……。


「……よく頑張ったね?」

「……っ」


 背中にまわされた手が、優しくて、暖かくて……、涙がおさまらない。

 これは、なんの魔法? 真間さんと関わると、私は涙腺が弱くなってしまうのかしら?

 止められない涙が、ボタボタと床に落ちる。

 どうしよう


「……ごめ、なさっ」


 あっ……。

 真間さんの腕が、ギュウッと強く、私を抱きしめた。


「……っ」


 震えるほど暖かい、彼の胸の中。息が苦しくなり、押さえていた私の中の何か、が外れた気がした。