氷の華とチョコレート


 本当は、まだ、言いたくなかったけれど……。


「両親共に、亡くなっているので……、田舎はないんです」

「……ごめん、考えなしだったね」

「いいえっ! こちらこそ、逆にすみません……」


 や、やっぱり、伏せておけばよかった、気を使わせてしまった。


「……」

「……」


 なんとも言えない空気が、室内に流れる。わ、私から、何か話さなくては……。


「……聴いてもいい?」


 えっ?

 真間さんは、両親と写った写真たてを手にしていた。


「あっ、……はい」

「これ、氷室さんが高校生の頃?」

「はい、高二の時です」


 シンプルな制服だったので、女の子にはあまり人気のない学校でしたが。


「氷室さんは、お父さん似なんだね?」


 えっ!? 驚いて、真間さんの顔を見つめてしまう。初めて言われました。


「そうなんですか?」


 ずっと、母親似だと言われ続けていたから、彼の言葉が意外だった。


「うん、お母さんにも似てるけど、やっぱりお父さんの方によく似てる、……優しそうな方達だね?」

「……」