氷の華とチョコレート


「はい、近くの神社にしようかと思っていました、大きな所は並んでしまって大変だし」


 せっかくのお休みだから、お家で、ゆっくりさせてあげたい。それに……。


「あの、私、……真間さんと、元旦の朝、一緒にお雑煮が食べたくて……」


 栗栖さんの事で、複雑な思いをしたけれど、あの時、真間さんのお家で一緒に食べた朝ごはんが、本当に楽しくて美味しく感じられたから……。また、一緒に食べられたら嬉しいかな、と……。

 気付くと、また彼の胸の中に、ギュウッと抱きしめられていて。鼓動が速くなったけれど、暖かくて……、私も真間さんの背に腕を回し、そっと彼を抱きしめた。

 暖かくて気持ちがいい……。お互いの鼓動の音が混ざってゆくみたいだ。

 ずっとこのままでいたい。……けれど、時間大丈夫かな?


「うん、オレも……、氷室さんのお雑煮、楽しみにしてる」


 耳元で彼の声が響いて、フッと身体が解放される感覚がした。顔を上げると、寂しそうに微笑む、少しダーグがかったチョコレート色の真間さんの瞳。


「もう、行くね……」

「はい、お仕事頑張って来てください」

「うん、夜電話する」


 別れ際に、私の額に触れるだけのKISSを残して、真間さんは車に乗り込んだ。

 私は、車のテールランプが見えなくなるまで、部屋のドアの前で、火照る頬を風で冷やしながら、彼を見送った。