氷の華とチョコレート


 真間さんと会う約束をした26日の夕方…―――


「お疲れ様です!」


 挨拶を終えて、私は、あわててロッカー室を出る。思ったより、仕事がバタついてしまい、会社を出るのが遅くなってしまった。年末の挨拶がてらの各社の営業さん達が、結構遅くまでいたからだ。

 真間さん、家の方にもう来ているかしら?

 駅までの道を歩いていると、スマホの着信音が鳴った。画面の名前は真間さんだった。


「はい、すみません遅くなってしまって……」

『まだ、会社かな?』

「今、出た所で、駅まで歩いています」

『じゃあ迎えに行くから、電車に乗らないで駅で待ってて? 車だと直ぐだから』

「はい、ありがとうございます」


 ホッとして、歩くペースを少しだけ落として駅へ向かう……。家のアパートは、電車だと回り道だけど、道路だと一本道で、服装さえ気にしなければ自転車でも通える距離だ。さすがに歩いては帰りたくないけれど……。


「氷室さん」


 駅前に着くと、ちょうど、一時停止して車の窓を開けた真間さんに声をかけられた。本当に、車だと道一本だから速い。


「遅くなってごめんなさい、思ったより人が多くて上がれなくて……」

「うん、年末だしね、乗って?」