氷の華とチョコレート


「美羽! 大丈夫だった?」

「菜摘……」


 向こうから、菜摘が走って来て、ギュッと抱きしめてくれた。彼女のぬくもりにホッとして、緊張していた身体から力が少しずつ抜けてゆく。


「……菜摘、弟さん達を連れて来てくれてありがとう、こっちに呼んでたんたね、いきなり現れて驚いたよ」


 でも、どうしてこんなにピッタリのタイミングで、連れて来れたんだろう?


「ふふ……、真間さんとKEYさんと暁陽で、色々打ち合わせしてたんだよ?」

「えっ?」


 何時そんな事をしていたのだろう? あんなに仕事で忙しくしてたのに? と驚いて、真間さんを見たら……。


「ごめんね、氷室さん黙ってて……」


 彼は、申し訳なさそうに謝ってくれた。


「内緒にしてって、あたし達が頼んだの」

「お前が知ってたら、キョドってロクなことないだろ?」


 うっ……。

 声の方を見ると、暁陽もすぐ近くまで来ていたらしく、いつもの意地悪な笑顔で言われた。でも、その内容が、当たってるだけにヒドい。