氷の華とチョコレート


 逆上した栗栖さんが、拳を振り回して来たのをスィッと避けて、空振りしてよろけたその背中を、真間さんが軽く押す。

 ドタンッと転んだ栗栖さんが、歩道の石畳に手をついたまま、凄い形相で睨んできた。


「大丈夫ですか? 石畳の歩道ってよく足をとられますよね? 起き上がるのに手を貸しましょうか?」


 爽やかな営業スマイルで、真間さんが、栗栖さんを見下ろして言う。それでも、殴られた頬が痛々しい。


「お前がっ、Θ■〼卍∞★@#だろ!!!!」

「聞いてください、……オレ、弱っちいですけど、一応、弱いままでいないよう努力しているつもりなんですよ?」

「お前の〆■〼卍Σ凸知るワケ★凹@#ダロ!!!!!」

「ん~……、そうかな? 弱さを知っているって、悪い事ばかりじゃないですよ? 頑張っても出来ない事は、助けてもらえばいいんだし?」

「はぁぁぁ? 何だ、■〼Σ凸★凹@他力本願なΘ★Ω●Δ!!!!!」

「そうなんですよ、一人じゃ出来ない事って世の中多くて、どうしても譲りたくないから、今回は、たくさんの人に助けてもらっているんです」


 えっと、……あれ?