氷の華とチョコレート


 ゼェゼェと、肩で大きく息を吐いて。真間さんを睨みながらも、自分を落ち着かせるように栗栖さんは呼吸していた。


「お前みたいな、……弱っちそうなっ!! ヤツに!! 美羽をやるワケ、ないだろ?」

「……」

「美羽、……俺と行こう!! こんなヤツなんか、ヤメて……!!」

「……っ」


 真間さんを挟んで、私に手を伸ばす栗栖さんの腕に、束縛の未来しか見えない。嫌なヴィジョンを消したくて、ギュッと目をつぶり、ブルブルと頭を横に振る。


「―――…美、羽?」

「……それで、また部屋に閉じ込めて、出さないんですか?」


 淡々と言い放ち、真っ直ぐに栗栖さんを見据える、真間さんの無表情な顔が、とても怒っているように見えた。


「うるさんだよっ!!!! α■〼卍凸★凹@ω!!!! 何なんダヨ、Δ〼卍★凹お前は!!! 美羽は、Σ■〼卍Σ凸だから∞▼βΩだろっ!!!!!」