氷の華とチョコレート


 ゆっくりと歩いて、ショッピングモールの正面入り口にある大きなツリーへ向かう。

 今年は真っ白なもみの木に金と銀のオーナメントと赤いリボンが飾られていて、とても綺麗だ。夜はたくさんついた電飾で、キラキラとしているんだろうな……。

 こんな雰囲気も久しぶり……。

 ふと、真間さんが立ち止まり、組んでいない方の彼の手が私の手包んで、キュッと握りしめた。驚いて見上げると、無表情な顔で、真間さんが前方を見据えているのが見えた。


「……真間、さん?」


 彼の視線を追って、前をみると……。


「……っ!?」


 身体が、ビクッと反射的に反応してしまう。

 やっぱり、ショッピングモールをずっと待ち伏せいたんだ?

 ゼエゼエと、急いでこちらまで来たように、息が荒い。真っ直ぐに私を見ているはずの彼の瞳は、焦点が合っていなくて……。どこか普通ではなかった。


「美羽、……やっと、……会えた」


 栗栖、さん……。

 私は、震えはじめる身体を抑えるように、組んだ真間さんの腕を、ギュッと握った。その手を包む彼の手にも力が入って、独りじゃないと教えてくれた。