氷の華とチョコレート


 友さんとあかりさんが見えなくなってから、真間さんは、また手を差し延べてくれたので、少し戸惑いながら手を出すと、今度は彼の腕の所まで引き寄せられた。ちょうど、腕を組む格好になって、顔を上げるといつもより真間さんが近くて……、別の意味で緊張する。 


「手をつなぐより、こっちの方がいい?」

「えっと……」


 や、やっぱり、手をつないでいた時、緊張していたのがバレている?

 驚いて彼を見上げると、少し困ったような彼の顔があって……。


「オレも少し緊張してるけど、今日は離れないで?」


 えっ? 今日(・・)は?

 気になる言い回しに、彼が近くて緊張すると言うのも忘れて、つい真間さんの顔をジッと見つめてしまった。


「出来れば、このまま会いたくないんだけどね」

「……真間、さん?」

「氷室さん、せっかくだからツリーの方行ってみる?」


 私が聞くより先に、指でショッピングモールをさして、彼が、ふんわりと笑う。


「……、はい」


 それ以上、何も言えなくなってしまって、私は仕方なく頷いて、組んだ彼の腕をキュッと、少しだけ強く握った。