氷の華とチョコレート


 少し掃除してキッチンを片付けたり、食後のお茶をゆっくり飲んだり、出かける準備を色々したりしていたら、なぜか11時近くになってしまった。


「着いたらすぐランチになりそうだね?」

「すみません、ゆっくりしてしまって……」

「オレも準備が遅かったから……、せっかくだし、ゆっくり行こうか?」


 振り返った真間さんが、手を差し延べてくれたので、手をつないで歩き出す。


「……」


 今、気付いたけれど、手をつないで歩くのは、初めてだった。彼の細いのに節のある、長い指の感触に慣れなくて、顔が熱くなる。

 困ったな、今さら手をつなぐだけで意識するなんて……。


「あれ? 氷室さん、……顔赤いけど、具合悪い?」

「!? 全然、元気ですよ?」


 手をつないでいるからです、とは言えなくて、あわてて顔を隠すように下を向く。もう、付き合って四ヶ月経つのに、……もうKISSとかだって色々しているはずなのに、恥ずかしいのはなんでだろう?