氷の華とチョコレート


 夜遅くまで仕事をしている真間さんは、朝私が起きて支度をする時には、まだソファで眠っていて。

 その寝顔を少しだけ覗くことが、ここでの朝の楽しみになっていた。

 彼の無防備な寝顔は、とても幼く見えて……、本人には言えないけれど可愛らしい。真間さんのそんな一面を見ることが出来るなんて、こんなことでもなければ機会がなかっただろうから、ちょっとだけ得した気持ちだ。

 キッチンで朝食のお味噌汁を作っていると、まだ眠そうな真間さんが、ぼんやりと起きはじめる。


「……ん、はよ」

「おはようございます」


 起きがけの彼はまだ寝ぼけていて、挨拶もおぼつかない。そのままフラフラと洗面所へ行き顔を洗いに行く。

 リヴィングのローテーブルに、簡単に作った朝ごはんを並べていると……「おはよう」と、いつものふんわりした笑顔をくれた。


「おはようございます」


 二度目になる挨拶を返して、よそったご飯を持っていく。


「朝ごはんありがとう、美味しそう」

「簡単なものですけど、どうぞ」

「いただきます」


 昨日の残りの白菜とニンジンで作った白和えに卵焼き、肉団子と白菜と春菊のお味噌汁を、彼はまた美味しそうに食べてくれた。