氷の華とチョコレート


 そのままなんとも言えない気持ちで寝室のドアを閉めて、彼のベッドに入る。真間さんがいつも寝ていると思うだけで、変に緊張してしまう……。


「……こんなので、眠れるのかな?」


 枕に巻いたタオルとシーツの柔軟剤の香りが心地いい、……真間さんのお家の洗剤の香りだ。

 変な緊張とは裏腹に、隣の部屋に彼がいると言う事と、ふんわりと暖かい羽根布団の暖かさが真間さんみたいだな……、と思った所で、私の記憶が途切れていた。





 そのまま、夢も見ることもなく眠れていたんだと思う…―――


 パタン、と言うドアが閉まる音で、何となく目を覚ます。

 室内は暗くて、今は夜?


「……」


 ここは?

 見覚えのないシンプルな部屋、知らないベッド。少し起き上がって見ると、着ているのは自分のパジャマ……。

 ボーッとしているのに、頭の奥は妙にクリアで……。

 カチャっと、部屋のドアが開いて、真間さんが顔を出す。


「あっ……、起きてた? よかった、そのまま寝かせようか一度見に来たんだけど?」

「……真間さん?」