氷の華とチョコレート


 そ、そんなことしてもらったら、余計に眠れません……。

 あわてて頭を横に振って、私は、顔を洗うために洗面所を借りた。顔を洗って、メイクを落として鏡を見ると、朝見たままのくま状態に、兎に角寝ないとダメだと再確認させられる。


「……寝ないとな」


 フェイスタオルをかぶったままリヴィングに戻り、ソファでノートパソコンを広げている真間さんの後ろに立つ。


「真間さん、ベッドありがとうございます、少し寝ますね……」

「うん、眠れなかったら言って?」


 振り返って、ふんわりと笑ってくれる彼のチョコレート色の瞳に、ホッとして頷いた。


「……おやすみなさい」

「……うん、おやすみ」

「……っ」


 真間さんとおやすみの挨拶をするだなんて、初めてで気恥ずかしくて、不思議な感じがした。