氷の華とチョコレート


「……あまり、家具がないんですね?」


 広いリヴィングの窓際に、ラグと小さめのローテーブル、アンティックなソファが一つだけ。リヴィングと繋がるカウンタータイプのキッチンはほとんど使われていなくて、小さめの冷蔵庫が置いてある。とても綺麗だけれど、ガランとして生活感がまるでない。


「うん、すぐ引っ越せるようにほとんど置いてないよ? こんな所で申し訳ないけど、とりあえずちょっとここで待ってて?」

「はい、あの、……キッチンとか見ててもいいですか?」

「好きに見ていいよ?」


 そう言って、すぐ隣にある部屋へ、真間さんが入っていく。

 お言葉に甘えてキッチンヘ行き、備え付けの最新式のコンロやオーブンがあることを羨ましく思いながら、下にたくさんある収納棚を開けてみる。

 そこには、一人分の簡単な食器たちと、小さな鍋とフライパンが一つずつ、炊飯器も小さいけど一応あった。シンクもほとんど使われていないのかとても綺麗。


「……料理は、ほとんどしてないみたい?」