「そう、盗聴器があるのに、氷室さんが住んでいないとなると、また別の所を探し回られて、彼の動きを把握しずらいから、その為にオレの所に泊まってもらって、氷室さんを見かけてもらうのが目的の一つかな?」
「……」
スゴい、忙しい出張の間にも、真間さんは色々と考えてくれていたんだと知れて、嬉しい気持ちが膨らんでいく。
「ご期待にそえない答えで申し訳ないけど、今は氷室さん、それどころじゃないでしょ?」
えっ?
耳元で小さく言われたその言葉に驚いて、真間さんを見上げると、チョコレート色の瞳がイジワルそうに私を見ていた。
「……!」
き、期待とか、していたわけでは、全然ないけれど……。
なぜか顔がどんどん熱くなってきて、そんなこと思ってません! なんて言えない状況に、泣きそうな気持ちになった。
帰って来た真間さんは、ふんわりとはしているのに、どこか強引で、少しイジワルで……。
いつもの彼じゃないみたいだ。


