氷の華とチョコレート


「……何で、バスタオルかぶってるかな?」

「……ごめん、なさい、……色々ちょっと、ありまして……」


 顔を見せないように、頭からかぶったバスタオル姿に、真間さんは少し笑って「玄関だけ失礼するね」と中に入り、後ろ手にドアを閉めた。


「こっちこそ急に来てゴメン、どうしても無事か確かめたかったから……、ありがとうオレの我がまま聞いてくれて」


 そして、そのままムギューとバスタオルごと私を抱きしめて…―――


「ただいま」


 と、安心したように息をついた。

 あっ……。

 久しぶりの真間さんの声と彼の香水の匂いにホッとして、私も彼の背に手を回してギュッと彼を抱きしめた。


「おかえりなさい」


 彼のゆっくりと打つ鼓動の音に安心して、……スゴい、……このまま眠れそう。


「手首、無理やりつかまれたって?」

「……あっ、はい、平井さんに助けてもらったので、もう痕もなくなりましたよ?」


 安心させたくて、つかまれた方の手首をまくって、真間さんに見せる。バスタオルの隙間から、彼と目が合って……。

 あっ……。

 私は、あわてて顔を隠してうつ向いた。