氷の華とチョコレート


 面白そうに笑う平井さん、きっと焼きもちを焼きそうな案件だと、思ってしまったのだろう。


「まっ、……か、彼なら大丈夫です、前に四人で一緒に出掛けていて、暁陽が友達なのを知っているので」


 真間さんと、つい言いそうになってしまう自分を、あわてて引っ込めて何とか話す。頭を使って用心深く話さなきゃいけない事に、ストレスを感じてしまう。


「それは残念、あいつをからかえるネタ逃したよ、あぁ、……取り合えず座って? もう一人も来たみたいだから」


 そう言って、片手を上げて平井さんは、コーヒーショップの入り口にいる人に合図した。


「来たよ?」


 黒いフチの眼鏡をかけた、細身の男の人が、平井さんの前に来て、ゴソゴソと名刺を取り出し私達の前に置く。左手にだけ、黒い手袋をはめているのが印象的だった。


『なんでも屋 KEY』


「……!?」


 なんでも屋さんと言う人を、初めて見たような気がする。