氷の華とチョコレート


「まぁ、言わなくて正解かな? あいつ結構焼きもち焼きだよ?」


 ニッと、やんちゃそうに平井さんは笑った。その顔が、とても優しく見えて、真間さんととても仲がいいんだとはかることが出来た。


「……焼きもち焼き? ですか?」


 真間さん、全然そんな風に見えない。やっぱり、私にはまだ素を見せてくれていないんだな……。イヤ、私だって、言えていない事があるのに、そんなことを思うなんて勝手だわ。


「君にロールペーパー渡す時も色々ウルサクてさ、大変だったんだよね」


 思い出したようにクスクスと笑って、平井さんは言う。ロールペーパー……。アレのおかげで、真間さんと連絡が取れたから、お礼を言っておいた方が良いのかしら?


「――…美羽、無事なのか?」


 あっ……。

 暁陽が、ボサボサの髪で、コーヒーショップの席までやって来てくれた。


「暁陽、来てくれてありがとう」


 急いで来てくれたのがわかるくらい、着の身着のままで、ゼェゼェと肩で息をしている。


「男……?」