氷の華とチョコレート


『―――…さっき何か黒いものを、ショッピングバックの方に入れていたのを見たんだ……、今、電話して、ソレに詳しいヤツを呼んだから』

「……」


 私は口を押え、目の前の人の顔を見て頷いた。


「あの男は、君とどんな関係?」


 言いながら、私の目の前に、彼は名刺を置いた。

『株式会社Re: 第一営業部 平井聖人 seito hirai 』

 やっぱり、平井さんで良かったんだ。鈴木の方が偽名、でも咄嗟に偽名を名乗れるなんて、スゴい対応力と言うか……、この人はどう言う人なんだろう?


「……昔、三か月だけお付き合いしていた人なんです」

「三か月でアレ? ……中々だね? あいつは、元カレの事は知ってるの?」


 あいつ? とは、……真間さんでいいんだよね? 名前を出せないトークに、緊張しながら私は自分の頭の中を整理して、答える。


「いいえ、言うか悩んではいて……、友達に相談していた所です」