犬猿の仲の彼の専属メイドになりました。

わざわざ放課後に絡みにいくぐらいなら昼休みにすればいいのに・・・とはよく思うが、そんなことを伝えたら「なんだ、一緒に帰りたいのか?」と言われるのが目に見えているから黙認している。

プライドが高い坊っちゃまはこうして女子生徒にちやほやされることで自己肯定感を上げていらっしゃるのだろう。

さすが人気者は考えることが違う。

さっさと坊っちゃまの部屋の掃除と衣服の整理を終え自室に戻った。

坊っちゃまが帰ってくる前に大方の課題と復習を終わらせるのが私のルーティーンだ。予習は余裕があるときだけやっている。

これじゃいつ坊っちゃまが帰ってきたのか分からないのでは?と疑問に思われるかもしれないが、律儀に坊っちゃまが連絡してくるので問題がない。

私に出迎えて欲しいのか、ここだけはしっかりしている。

今日も坊っちゃまから連絡が入った。


『23分後に帰る』


細かい。

そして本当にこの時間ピッタリ帰ってこられる。

だからそれまでに玄関の前に待機しておかなければ。

そう思っていたのに、今日の私はやらかした。

うっかりうたた寝をしていたのだ。

気づいたときには40分が経過していた。

坊っちゃまはもうご自身で自室に戻っているだろう。