犬猿の仲の彼の専属メイドになりました。

一体この一連の流れになんの意味があるのだろうか。


「命令には従いますが、なんで毎回こんなことしないといけないんです?」
「・・・・・・・・・」
「無言で目を逸らさないでくれません?やましいことでもあるんですか?」
「あるわけ、ないだろ」


答えに詰まっている時点で絶対に何かある。


「じゃあ何か仰ってくださいよ」
「答える義務はない」


都合が悪くなるとツンっとそっぽを向く癖はいつまで経っても治らないようだ。


「そうですか。お先に失礼致します」


これ以上何を言っても平行線なので早々に席を立った。

毎日毎日ろくに会話を交わさないくせに何故一緒に食事を摂らないといけないのかも分からない。

分からないことだらけだ。

理解しようとするのを辞めればいいのに、それが出来ない。

私と遥くんは決して仲良くはなかった。

それでも情は移っていたのだろう。

だから今胸が苦しい。





私と坊っちゃまは下校は別々だ。

私は早く帰ってメイドの業務をこなさないといけないし、坊っちゃまは女子生徒との交流があるからだ。