犬猿の仲の彼の専属メイドになりました。

坊っちゃまはどこにいても注目の的だ。

元々顔は芸能人並に整っているのに加え身長も高く母親譲りのモカブラウンの髪も目を惹く。

そうなってくると一緒に登下校している私も視線を集めるわけで。

それが嫌な私は坊っちゃまが女子生徒達に挨拶を返しているうちにフェードアウトしようとしている。


「おい凜。離れて歩くな」


が、毎回坊っちゃまに呼び止められ成功したことがない。

今日も今日として女子生徒からの視線が刺さる。


「人前で気軽に話しかけないでください」
「それは俺が決めることだ。ふざけたことぬかすかな」
「・・・すみません」


ここは謝っておこう。下手に刺激して長引かせたくない。


「これで昼すっぽかしたら俺が直々に出向いてやるからな」
「そんなことさせませんよ」


そうなってしまったら更に女子生徒からの視線が鋭くなる。

そのせいで未だに友達がいないと言うのに、これ以上腫れ物みたいに扱われたくない。

まぁ坊っちゃまが私と関わろうが関わらまいが友達は出来なかっただろうけど。

作り笑いすらまともに作れない私が人と関係を築くことな難しい。

社交界でも壁の花になることが多かった。