遥くんに衝撃的な告白をされた日から遥くんは変わった。

まず放課後に女子生徒と戯れて帰るのを辞め、私と一緒に直帰するようになった。

曰く「家柄的に上手く使えないかと思ってたが着飾ることしか頭にない奴らだった。あれは駄目だ」と。

一応人脈を広げておいて損はないからこのまま続けたらどうかと提案したら、拗ねられて面倒くさかったので口出ししないと心に決めた。

それから、遥くんが今までのことを話してくれた。それと懺悔も。

菱川が傾いていくのを見て見ぬふりしていただとか自分のことでいっぱいいっぱいで私のことを見れていなかったとかあの頃の最善は私をそばで支えることだったとか語られた。

確かにあの頃の私には頼れる誰かが必要だった。

誰も力になってくれない中で菱川を立て直そうと奮闘するのはただただしんどかった。

だからといって今あの頃に戻っても、私の父兄の考え方とやり方が変わらない限り同じ結果になると思う。

子供である私と遥くんがいくら抵抗したところで大人には敵わない。

だから子供の立場を利用して上手くお金を稼いだ遥くんは立派だと思う。

そう言って慰めたことを少し後悔している。


「掃除が出来ないので後ろからギューってしてくるの辞めてもらえませんか、遥坊っちゃま」
「抱きしめることをギューって言うのか。可愛いな」


告白以来何かが吹っ切れたらしく、こうしてくっついてくることが増えてしまった。