「・・・お前が、暇つぶしをするのに丁度いいからだ」
「悪趣味ですね」


思ったことをそのまま口にするとグイッと顎を持ち上げられた。

さっきまで私を見ないように顔を逸らしていたくせに、今度は鼻が当たるほど顔を近づけてきた。

表情は相変わらず不機嫌そうなままだ。


「あと敬語もやめろ。気持ち悪い」


坊っちゃまのワガママのせいで私がこの立場になったのに、何故敬語を嫌がるのでしょう。


「そうお思いになるなら私を家に帰して頂けませんか?」
「帰りたいのか?あっさりとお前を売ったあの家に?」
「・・・・・・・」


貴方が私を下につけるために連れてきたくせに。

そう言い返しそうになるのを唇を噛んで堪えた。


「お前はここにいるのが1番いいんだ。自分でも分かっているんじゃないのか?」


調子に乗って私の頬を撫でる手をはたいた。


「勝手に決め付けないでください、遥坊っちゃま」


私達の関係は昔からお世辞にもいいとは言えない。