「あのっ、ジャケットありがとうございました。クリーニングに出してたので、時間がかかってしまって申し訳ないです…」
紙袋を差し出す彼女は、本当に申し訳なさそうな顔をしている。
「クリーニングなんて良かったのに」
「いいえ!そんなわけにはいきません!着たまま寝ちゃってすごいシワになってたので。それにお粥だって作っていただいて。」
確かあの日会議だったのに、針間さんにジャケット貸したまま帰社して、焦ったな。
まあ小林が同じ色のスーツだったから、借りてなんとか会議に出たけど。
ジャケットのことなんてすっかり忘れてた。
…まあそんな冷静じゃいられなかったんだよな。
「あと…これ、お礼にコーヒークッキー作って来ました…っ」
「え、」
小さくて可憐な彼女の手には、可愛い袋に包装された茶色いクッキー。
…コーヒーカップの形だ。
こんなに嬉しいことあってもいいの?
俺のために?俺だけのため?



